復讐のカリカリベーコン!映画「狼の死刑宣告」

「狼の死刑宣告/DEATH SENTENCE」2007年度アメリカ映画
渋谷シアターN 他にて公開中
監督 ジェームズ・ワン 「SAW ソウ」
原作 ブライアン・ガーフィールド 「狼よさらば」
出演 ケビン・ベーコン 「フットルース」「ミスティック・リバー」
ケリー・プレストン 「トラボルタの嫁」
《あらすじ》
投資会社に勤務するリーマン、ニック・ヒューム(ベーコン)は、愛するヨメ(トラボルタ嫁)と、ホッケー選手の長男、不器用な次男に囲まれ、幸せな家庭生活を送る温厚な男。
愛する家族との時間を何よりも大事にするニックを、ある日突然惨劇が襲う。
長男を迎えに行った帰りに立ち寄ったガス・スタンドを若いストリートギャングが襲撃!店内に居合わせた長男が目の前でギャングの1人に喉を切られ惨殺されてしまったのだ・・・
絶望と悲しみのどん底に突き落とされるヒューム一家・・・やがて長男を殺した新入りギャングが逮捕され、ニックは法廷で証言台に立とうとする。しかし、愛する息子が殺された理由が、新人ギャングの通過儀礼の度胸試しであった事、極刑など望めない事を知り、憤りを覚え証言を拒否する。
法は無力であると痛感したニックは、怒りと混乱で我を忘れ新人ギャングを尾行。そして揉み合いの末、新人ギャングをナイフで刺し殺してしまう・・・
しかし、そこは殺しの初心者であるニックさん(もう以下ベーコン)衝動的犯行に付き物の詰めのスイートさが災いして、現場を目撃されてしまう。しかも、新人ギャングが一味のボスであるビリーの実弟だったからさあ大変!
怒り狂ったビリーは仲間と共にベーコン一家に魔の手を伸ばしてくる。、
更に、ビリー一味に立体駐車場に追い詰められたベーコンさんが、温厚なリーマンとは思えない「世界のジャッキー」ばりの機転を発揮した挙句、一味の1人をまたもや死に追いやるハメに。
最早、新型インフル並に止める事の出来ない復讐と暴力のデフレ・スパイラル。流石にここに来て家族への脅迫を受け、事の事態にビビりまくるベーコン。所轄の女刑事に全てを話し保護を求める。
しかし、こういう映画のセオリーに則り、あくまで役立たずの警察陣営。結局、深夜に自宅を襲撃され目の前で愛するヨメと次男を射殺され、自らも撃たれてしまう悲劇のベーコンさん・・・
三途の川から生還したベーコン(以下、熟成ベーコン)ヨメは亡くなったものの、次男は重体ではあるが一命を取り留めていた。
愛する者を全て奪われ、遂にキレる熟成ベーコン(以下、スライスベーコン)傷の癒えぬ体にムチ打ち、貯金はたいて銃器を購入、取説読みながら銃の扱いを勉強(堅実なリーマンですから)
銃をいっぱい身に付けカチ込む際のヘアスタイルとして、頭をバリカン刈り(参考:タクシードライバー)復讐に燃える男のコーディネイトとして革ジャンに水平二連ショットガン(参考:マッドマックス)でキメっ!(何事も基本に忠実な堅実リーマンですから)
怒りの炎に身を焦がすスライスベーコン(以下、カリカリベーコン)はギャング一味のアジトに単身乗り込むのだった。
頑張れ!カリカリベーコン!炭になる前に街のダニ共を「死刑っ!(※ガキでかのポーズ・・・分かるかなあ)」だ!
《かいせつ》
ヴィジランテ(自警)映画および復讐映画の先駆的名作として名高い1974年の「狼よさらば」(監督マイケル・ウィナー 主演チャールズ・ブロンソン)の原作者であるブライアン・ガーフィールドが、「狼よさらば」の姉妹編として書き上げた「DEATH SENTENCE(死の宣告)」を今更になって映画化。
「狼よ・・」同様、街のチンピラに家族を殺され、傷付けられた普通の男の復讐を描くバイオレンスアクション。
2007年に本国で公開されるも、ほとんど話題にならず日本公開も見送られてきたものの、1昨年の女版「狼よさらば」とも言えるジョディ・フォスターの「ブレイヴ・ワン」公開や、昨今の70年代テイストアクションの復活、果ては同時期に公開の東野圭吾原作、娘を殺されたオヤジの復讐物「さまよう刃」(これはヘタクソで重苦しいだけのクソ)・・・
混迷の平成期に「自警・復讐」ブーム再燃のタイミングを見計らう様に単館公開!配給会社も無駄な力の入り様で(笑)ポスタービジュアルも、ざらついた質感に70年代「コワモテ」映画に付き物のタイトルロゴ(フォントは狼よさらばを完コピ)
映画レビューの画像には本国仕様のポスターを拝借するTMも、今作ばかりは日本版が気に入り使用させて頂きました。
んで、内容の方はもう70年代風味全開の定番復讐アクション(笑)昼のロードショーや、テレ東系で昔散々見た様なオールドファッションの現代風アレンジを美味しく頂きましたよ。やはり燃えるね、こういうのは。
監督は大ヒットスリラー「SAW ソウ」のジェームズ・ワン。使い古されたストーリーながら、「復讐の連鎖」という
9.11以降の現代風テイストを取り入れ、泥沼化する憎しみと暴力の連鎖の果てに全てを失い、復讐の成就と引き換えに癒え様のない孤独と虚無に着地する男を描く力作。
新感覚の映像派、と呼ばれるワンちゃんだけに、立体駐車場のチェイスにおける驚愕のワンシーン長回しはどう撮影したのかメイキングを確認したくなる様な離れ業を見せてくれます。
意外だったのは「SAW ソウ」のテイストから、本作も冷徹でもっとオドロオドロシイ質感を予想していたのですが、
ナイン・インチ・ネイルズのチャーリー・クローサーが手掛ける劇判や、感傷的な挿入曲も手伝い、センチな風味が
血生臭さやピリピリする様な恐怖感を緩和させていた事。救い様のナイ話でも、重さより切なさを感じる後味を残す
ものでした(ラストのベーコンの姿に男泣き)
主演のケビン・ベーコンは80年代のアイコンの一つである青春ダンスムービー「フットルース」でアイドルとなりましたが、今や50歳!(30代にしか見えないが)性格俳優として年輪を重ね「燻しベーコン」の地位を確立。温厚なマイホームパパが復讐の鬼と化す様を哀感と狂気を交えて熱演しとります。
普通のリーマンが、なぜ格闘や銃の扱いが巧なのか?なんて野暮な事は言うな!こういう映画で復讐に燃えた男には神懸り的な火事場のバカ・パワーが宿るんだよ!
昔々から、シェイクスピアから時代劇まで「復讐」というテーマは普遍的で魅力的なもの。復讐は悪と理屈では分かっていても、身内や愛する者を奪われたり傷付けられたりすりゃ、復讐に燃えるのは当然の感情でしょう。
気の抜けた様な大作や、毒にも薬にもならない作品にお嘆きの方、上司や近所の意地悪ババアに仕返ししたいと目論む方・・・本作で多少なりとも溜飲を下げて下され(バイオレンスシーンは容赦ないので注意)
70年代オールドスタイルの名作アクションへのオマージュと、心に獣を飼う男の活性剤が詰った佳作!
TM的には☆よっつでぇすうう!!!!
《本日の男の宣告》
力や悪に屈する様では
男と生まれた意味がねえだろ
この記事へのコメント